対談コラムプログラミング教育に関するお悩みや、今取り組むべきことなどをご紹介。

プログラミング教育最前線

PROGRAMMING EDUCATION

始まっている日本の『プログラミング教育』の今

第2回「LEGO Education Conference 2018」で明らかになったこととは

前編「未来の学びコンソーシアムの今」世界の中の日本の今を見つめ直す

取材/文:森 綾(エッセイスト)

さる8月20日、東京・日本科学未来館で「LEGO Education Conference2018」が開催された。

今回は、プログラミング教育に焦点を当て、新学習指導要領を踏まえた授業の体験等をまじえながら、子どもたちの将来にとって意義のあるプログラミングの授業とはどういうものかを考えていくという内容だ。
集まったのは、小中学校段階におけるプログラミング教育、とりわけ差し迫った2020年からの小学校のプログラミング教育の必修化を前に、少しでも実用的な情報をと望む小学校の教諭たち。またすでに必修化されている中学校技術にも教育内容が追加されることが決まっていることもあり、中学校の教諭も集まった。

夏休みの本当に暑い1日にもかかわらず、参加者は総勢約300人。
最初に感じたのは「教える人たち」が「学ぼうとする」熱気だ。
いくつかのワークショップはすでに事前に満杯になっており、受付に置かれた配布資料もあっという間に消えていく。

そもそも、レゴ社にはすでに約20年、プログラミング教育の教材を製品化、カリキュラム開発してきた歴史がある。

小学校低学年から段階に合わせて活用できる「レゴWeDo 2.0」、そして小学校高学年から中学校にかけての難易度の高い取り組みに適した「教育版レゴ マインドストームEV3」。この2つの教材を使った授業体験ワークショップと、すでに学校現場で活用している教諭たちの教育体験とアイデアを共有できることが、このカンファレンス最大の魅力なのである。

まず文部科学省の「未来の学びコンソーシアム」プロジェクト推進本部の中川晢本部長代理が、基調講演を行った。

「未来の学びコンソーシアム」は、プログラミング教育の普及、促進を目的に、官民一体となって取り組んでいるプロジェクトだ。このプロジェクトを形成しているのは、文部科学省、総務省、経済産業省、教育・IT関連企業、ベンチャーなど。
中川さん自身、もともとは外資系のIT 企業勤務で、現在は東京大学先端科学技術研究センター 人間支援工学分野客員研究員。このプロジェクトの中核を担う存在である。

中川晢さん

中川さんは、冒頭にプログラミング教育の必要性を説くとき、自分が子どもの頃になかったものが、いかに当たり前に使われているかを話し出した。

「ここに来るまでの自分の行動を振り返ってみます。Smart Watchのアラームで目が覚めます。Smart PhoneでFacebook、Instagram、LINEなどのSNSをチェックし、交通系のICカードを使って電車に乗る。その間にノートPCで、Emailをチェックし、インターネットでニュースを見て… これらすべて、プログラミングされているものばかりです」

一方で、世界と日本の置かれている実情と将来予測の話になった。
2017年に国連が発表した世界の人口予測によると、現在76億人の世界人口は、アジア、アフリカの人口増を中心に2050年には98億人、2100年には112億人になるという。
しかしこれに反比例して、日本の人口は2004年12月にピークの1億2784万人となった後、2050年には9515万人になるという。そしてこのままのペースでいくと、2100年には4771万人となり、国力が低下することは想像に難くない。

そこで、注目されるのが、第4次産業革命の必要性なのだという。
つまり、人数ではなく、頭脳で勝負するという発想の転換だ。
IoTによって、あらゆる事業と情報をデータ化し、ネットワークを通じて自由にやり取り可能にすること。ビッグデータによって、集まった大量のデータを分析し、新たな価値を生む形で利用可能にすること。AI(人工知能)によって、機械が自ら学習し、人間を超える高度な判断ができるようになること。ロボットによって、多様かつ複雑な作業についても自動化が可能になること。

この4つの発展によって、少人数でも劇的に仕事が進み、産業構造や就業構造が変わることが期待されているのである。

ではその第4次産業革命にもっとも必要なことは何か。

それがIoTを、ビッグデータを、AIを、ロボットを「プログラミングする」能力だというのである。
世界における日本のIT力の現状は、ランキング10位という資料も見せた。しかし、欧州の国々は10位内に7カ国ランキングしている。

そして、その欧州の国々では、学校教育のカリキュラムの一環として、すでにしっかりとプログラミングを導入しているのである。リトアニア、ポーランド、エストニア、スロバキアといった東欧の国々でもすでに導入されているという事実は衝撃だった。

先進国の一例としては、イングランドのプログラミング教育についての話があった。目的は児童がコンピューテーショナルシンキングと創造性をもちいて世界を理解し、変革する力をもつこと。7歳までにアルゴリズムを理解し、簡単なプログラムを書き、デバックする。11歳までに条件分岐や繰り返しを活用してプログラムを書き、デバックする、とある。

7歳までにということは、小学校に上がる前にすでにプログラミング教育が始まっているということか。
なんだかちょっと焦らされるような話である。

それでは、これから小学校においてどのようなプログラミング教育が始まろうとしているのだろう。
次回は、文部科学省が小学校のプログラミング教育のスタートラインをどう位置付けているのかに迫る。