レゴ エデュケーションでは、2019年8月6日(水)に東京、また8月9日(金)に大阪で、「レゴ®エデュケーションカンファレンス2019」を開催し、猛暑の中、日本全国から400名以上の学校教育関係者の皆様にご来場いただきました。
本カンファレンスでは、2020年からの小学校でのプログラミング教育必修化や、2021年度に全面実施となる中学校技術科を踏まえ、「今まさに必要とされるプログラミングの授業とは何か」をテーマに、海外スピーカーや当該分野で実績を積まれている教育現場の先生方を含む講師の方々にご登壇いただき、東京、大阪開催の2日間で30以上のセッションが開かれ、その多くが満員となる盛況なイベントとなりました。
カンファレンスの参加者からは、「プログラミング教育がどのようなものか分からない状態で参加しましたが、実践例の紹介や活動を交え、楽しみながら学ぶことができました」、「体験型のイベントを通して、授業構想が膨らみました」、「ワークショップが終わった後の受講者の楽しそうな笑顔が印象的でした」などの感想をいただきました。本レポートでは、イベントの内容をダイジェスト版でご紹介します。
特別講演では、レゴ エデュケーション インターナショナル代表のトム・ホールが、レゴ社のミッション「Inspire and Develop the Builder of Tomorrow(ひらめきを与え、未来のビルダーを育もう)」について説明するとともに、STEAM学習における手を使った実体験型のハンズオン学習の大切さ、学習にとっての自信の重要性を自身の家族のエピソードや、2019年2月に実施したハリス・ポール(米調査会社)の調査結果*をもとに紹介しました(当講演は東京会場のみ)。
* 調査結果の詳細は、こちらからご覧いただけます(EN)
また、2020年の初め頃に発売を予定している新教材「レゴ®エデュケーション SPIKE™ プライム」についての案内に続いて、デンマーク本社の教育コンテンツマネージャー、ヤニック・デュポンが、SPIKEプライムでどのようなことができるかを、プレゼンテーションや実機を使ったデモでご紹介しました。一人の参加者が呼ばれ、即興のロボットレースで競って会場が盛り上がりました。
基調講演では、米国タフツ大学のCenter for Engineering Education and Outreach(CEEO)のイーサン・ダナヒ博士を迎え、「STEAM教育の重要性」について、実例をもとに発表がありました。まず、冒頭で、旧時の授業風景を映した白黒写真をスクリーンに映し、会場の参加者に、どのような印象かを投げかけました。参加者からは、「静か」、「皆黒板に向かって一斉に前を向いている」などの声があがりました。次に、変わりつつある現在の授業風景をスクリーンに映し、これから、一方向の授業スタイルではなく、先生のファシリテーションにより、グループで話し合い、様々なツールを使って、自ら学びを探求する授業スタイルに変わっていくということを参加者に印象付けました。また、このような学びの環境から得られる子どもたちの創造性やコラボレーションスキル、ドキュメンテーションスキルが今後非常に重要になってくることを訴えました。
発表の後半では、レゴ®教材をSTEAM教材として使う例として、楽器演奏や、キャンディの掴み取りゲームなどに応用したり、植物の生態をロボットで表現することで新な産業システムの開発のアイデアにつなげることができるといった事例が写真やビデオを交えて紹介されました。
基調講演にご登壇いただいたタフツ大学イーサン・ダナヒ博士による、レゴ®教材シンプルマシンセットを活用した特別講座を提供しました。投石器(カタパルト)の仕組みをレゴ®ブロックで組み立てながら、てこの原理をハンズオンによって理解を深めるという主旨で進める企画でしたが、参加者との対話の中で、投石器はどの時代に、どこで、どのように使われたのか、そしてこの仕組みは現在どのように応用されているのかなどに発展し、STEAMの”Aアート”は、”歴史”や”建築”、”文化”も含まれることに気づかされる刺激に満ちた講座となりました。
東京都プログラミング教育推進校の1校でもあり、校内研究としても多くのプログラミング教育実践に取り組んでいる荒川区立第二日暮里小学校の川上晋校長先生をはじめ、実践授業に携わっている先生方より、4年生~6年生の各学年での授業実践を動画で紹介しながら授業実践のポイントをわかりやすくご説明いただきました。
本校では主に「総合的な学習の時間」を活用して実践を行い、学校全体の取り組みとしてプログラミング教育を推進しています。4年生では基本的な操作方法を学び、5年、6年と実践レベルを上げ、最後には自分たちでしっかりと考え、プログラムの発表だけではなく、どのように取り組んでいったのか等、児童達それぞれが自立できる学習を行っているのが印象的でした。
相模原市立相原中学校の荒木佑輔先生より、「高齢者支援や障害者支援のために計測・制御を使って解決しよう!」をテーマに、「D情報の技術(3) 計測・制御のプログラミングによる問題解決」にあたる授業の一コマが展開されました。今回の授業は、神奈川大学附属中学校PC部の生徒さん約20名にご協力いただき、「視覚に障害がある人を助けるために周りを感知する白杖」や「段差をスムーズに昇降するためのロボット」など、事前にワークシートを配布して考えてきてもらったデザイン、アイデア、プログラムを具現化するためのプログラミング実践と、モデルがうまく動くようにするための改善・発表までが荒木先生のファシリテーションで展開されました。先生が気づきを与えながら、生徒が学びを自分のものにしていく姿が印象的でした。当日は、「学びの場.com」の取材が入り、授業内容の詳細が分かる記事レポートをこちらにご掲載いただいています。
追手門学院小学校の横田理樹先生により、「ロボット二人三脚『合体ロボット』を制御しよう」と題した授業が行われました。先生から出された課題に対して、順序だてて動きを考える、論理的に動き方を命令する、といったプログラミングの基本に加え、お互いに話し合う、意見を出し合うなどの協働作業で新しいアイデアを創出する児童たちの姿をご覧いただくことができました。
追手門学院小学校の福田哲也先生により、「はやぶさ計画」に挑戦!~SPIKEプライムを使ったロボット・プログラミング教育実践」と題した授業が行われました。宇宙をテーマにしたフィールドマットの上を走らせるロボットを制御していくつかのミッションをモーター制御、センサー計測を活用しクリアしていく実践でした。授業の中では、生徒たちがお互いにもっている知識を共有する活動が活発に行われていました。競技会形式の課題発表では、いくつかあるミッションがポイント制になっており、より多くのミッションをクリアしたいという生徒たちのモチベーションが、積極的な授業への参加につながることが分かる公開授業となりました。
午後からは、興味・関心に応じて事前にご登録いただいた体験型ワークショップや、事例発表が行われました。
午後の部のダイジェストは、こちらから。