対談コラムプログラミング教育に関するお悩みや、今取り組むべきことなどをご紹介。

プログラミング教育最前線

PROGRAMMING EDUCATION

「LEGO Education Conference 2019」

第3回「レゴ®エデュケーションカンファレンス2019」
~今まさに必要とされるプログラミングの授業とは何か~
開催レポート

後編午後の部 - ワークショップ・事例発表のダイジェスト

午後は、教育委員会のご担当者様や、先生方に実際に授業の様子を具体的にイメージしていただくために、レゴ®エデュケーションの教材を使った体験型のワークショップと、事例発表が行われました。

体験型のイベントを通して、授業構想が膨らみました。 参加者の声:中学校の先生
午後の部 - ワークショップ

東京、大阪会場ともに70分の構成で、以下のプログラムが午後に2セッション(13:50~15:00/15:45~16:55)実施され、多くのクラスが満員となりました。以下では、各ワークショップで行われた主な内容をご紹介します。

ワークショップ A:
小学校低学年向け (教材:レゴ®WeDo2.0)
ワークショップ A

南あわじ市立松帆小学校の黒田昌克先生を講師に迎え、「WeDo2.0でプチイノベーション~総合的な学習での授業実践に~」と題して授業が展開されました。ここでは、黒田先生が学校で行われた授業内容の一部を参加者に体験いただき、1)トイレのスリッパを正しく並べよう、2)宿題の提出した数を数えよう、3)運動をサポートしてくれるロボットを考えようなど、実際に学校でありそうな身近な問題を課題として参加者が好きな課題を選び、課題を解決してくれるロボットやプログラムを考えて作成し、発表をしていただきました。参加者からは「身近な課題を設定することで、より自分のことのように考えられる」、「こうしたらもっといいよね」、「課題解決の為に話し合いが活発になる」など、WeDo2.0を通じて児童間の話し合いや協調性、探求心がより活発になるということを、肌で感じていただけるセッションとなりました。最後に、黒田先生より「プログラミング体験を通じて、よりよい社会や他人に優しい仕組みを考えることが大切です」とのお話があり、“学びに向かう力や人間性”を大切にする授業提案を参加者の皆様と共有することができました。


ワークショップ B:
小学校高学年向け (教材:レゴ®エデュケーションSPIKEプライム)
ワークショップ B

大阪市立苗代小学校の金川弘希先生を講師に迎え、STEAM教材、SPIKEプライムを使ったセッションを展開していただきました。セッションでは、SPIKEプライムの説明にはじまり、隣の席の参加者とペアになって、ダンシングロボットの組み立てから、ScratchベースのSPIKEアプリを使ったプログラミングを通してロボットがうまく踊るまでを実践いただきました。うまく動かない場合は、何が原因なのか、どのように改善すれば良いのかペアで相談しながら成功するまでの試行錯誤と喜びをご体験いただけたと思います。多くの小学校では今後Scratchによるプログラミング教育が行われることもあり、参加者の皆様より、「同じScratchという言語でモノを動かすという体験ができるのが良い」と学習環境がスムーズにつながっている仕組みも好評いただきました。


ワークショップ C:
中学校向け (教材:レゴ®エデュケーションSPIKEプライム)
ワークショップ C

レゴ エデュケーションのキーアカウントマネージャー江口敬介により、2021年より改訂される中学校技術科でのプログラミング実践をイメージしていただくためのセッションが展開されました。中学技術科でのプログラミングで求められることやSPIKEプライムの製品説明に続いて、組み立てたモデルを直進、回転、元に戻ってこさせるプログラム(ミッション1)、全自動運転のプログラム(ミッション2)を体験いただいた後に、全自動運転バスをテーマにした課題に取り組んでいただきました。全自動運転のバスが公道を走るために必要な機能は?問題点を解消する機能とは?を考えた上で、参加者の皆様は、それぞれのモデルを組み立て、プログラミングをし、発表していただきました。


ワークショップ D:
高校向け 初級編 (教材:教育版レゴ®マインドストーム®EV3)
ワークショップ D

神奈川工科大学の吉野和芳教授のファシリテーションで展開されたこのセッションは、授業の冒頭でロボットのイメージや、実社会に役立てられているプログラミングにはどのようなものがあるかを参加者に問い、プログラミングが生活にどのように役立てられているかを授業で説明する際のイメージを膨らましていただくことができました。

プログラミング実践では、EV3を使って仕分けシステムを製作しました。隣に座った参加者Aさん、Bさんとペアになって、協力をしながら仕分けシステムを完成させる内容で、Aさんが組み立てたベルトコンベアとBさんが組み立てた仕分け機構やセンサ土台などを一緒に合体させ、EV3アプリのドラッグ&ドロップ式のプログラミングで、コンベアで流れる赤と黄色のブロックをカラーセンサーで識別して仕分けるシステムの製作をご体験いただきました。インタラクティブな中にも、仕分け機能がうまく作動するよう、ペアで工夫をしながら集中して作業に向かう参加者の方々の姿勢が印象的なクラスでした。


ワークショップ E:
高校向け 上級編 (教材:教育版レゴ®マインドストーム®EV3)

神奈川工科大学附属中・高等学校の小林道夫先生を講師に迎え、Python、Java Scriptを活用したテキストコーディングのセッションを実施しました。最初にMicrosoft MakeCode でScratchベースのコーディングに挑戦しました。ソフトウェアをインストールしなくてもブラウザベースでコーディングが手軽にでき、ボタンひとつで簡単にJavaScriptに変換できることに参加された方も驚いていました。ライントレースできるようコーディングしてEV3を実際に動かすことにほぼすべての参加者が成功されていました。また、Microsoft Visual Studio Codeを使用してPythonでコーディングし、カラーセンサーをつけたEV3を使って判別した色ごとに異なる動作をさせる実習にも挑戦しました。「思っていたより簡単にテキストコーディングで意図した動作をEV3で実行できる」と、参加された皆さんが楽しんで取り組まれていたのが非常に印象的でした。

とても興味の持てる内容で、やってみたいことが増えました。 参加者の声:中学校の先生
ワークショップが終わった後の受講者の楽しそうな笑顔が印象的でした。 参加者の声:高校の先生
午後の部 - 事例発表
東京会場:「プログラミング教育の実践事例」
事例発表

自治体主導によるプログラミング教育の先進的な事例として、相模原市教育委員会、学習情報班指導主事の渡邊茂一氏を講師に迎え、プログラミング教育のねらいの確認から、小学校、中学校での授業事例、展開例を写真や動画を使って発表いただきました。また、プログラミング教育に取り組むことは、授業改善のチャンスと考え、子どもたちが、今後の社会に必要な問題解決能力を育めるよう皆で頑張りましょうと、モチベーションにつながるメッセージをいただきました。


大阪会場:「子供たちの未来のために」

追手門学院初等中等部、ロボット・プログラミング教育推進室室長の福田哲也先生を講師に迎え、追手門学院が、AI(人工知能)時代の到来を見据えて、プログラミング教育を導入していることや、その教育的効果などについてもお話いただきました。ロボット・プログラミングを始めた子どもたちそれぞれが、自分の目標に向かって、自発的に問題を解決しながら取り組んでいく姿や、協働作業の中でロボット制作、計画、リーダーシップなど、それぞれの得意な能力を発揮していくようになる過程などを感じていただけたことと思います。

大阪会場:「公立小学校における(みなさんができる)実践事例」

大阪市立苗代小学校の金川弘希先生に、「(みなさんができる)公立小学校における実践事例」をご発表いただきました。「協力し合い、学び合いながらすすめるプログラミング教育~新たな価値創造に挑んでいく子どもの育成~」を研究主題として、1)生きて働く、2)未知の状況にも対応できる、3)学びを人生や社会に生かそうとする、という3つを柱に低学年~高学年まで難易度を上げながら系統立てて実施されている苗代小学校での事例を、豊富な写真や各学年の年間計画、カリキュラム例、学習展開などを示しながらご説明いただくとともに、今後の展望などもお話いただきました。

まとめ

レゴ®エデュケーションカンファレンスは、今回の開催で、8回目を迎えました。昨年2018年は、東京のみの開催で、今年は大阪開催も実施し、規模を倍に拡大しての実施となりましたが、イベントの案内開始より2カ月弱と短期間の周知にも関わらず、約500名の参加申込があり(当日参加は400名強)、今後、小中高でプログラミング教育が必修化、高度化される中、プログラミング教育への関心が高まりつつあることが、申込状況や、参加者の皆様の姿勢からもうかがえました。

参加者の方々より一番多く寄せられた感想が、「楽しかった」というものです。今回、参加者の皆様のご協力をいただいたアンケート結果でも、先生たちが、子どもたちが楽しく取り組める授業を理想としつつ、学習指導要領に沿った実践を意図していることがわかりました。また、そうした授業を叶えるために、教育現場では、学習教材、体験型授業、教員支援などの環境整備が求められています。アンケート結果についてはこちらをご覧ください。

今回のイベントでは、STEAM教育やプログラミング教育への理解が広がりつつある場の空気を、参加者の皆様と共有できたことをスタッフ一同嬉しく思うとともに、教育委員会のご担当者様や、教育現場の先生方の声を反映して、日本のプログラミング教育のニーズに合う教材やサービスの開発を通して、今後の日本のプログラミング教育の発展に貢献できるよう、引き続き活動を推進してまいります。