特集記事プログラミング教育に関するお悩みや、今取り組むべきことなどをご紹介。

プログラミング教育最前線

PROGRAMMING EDUCATION

大阪市立苗代小学校 小学5年生 理科

大阪市立苗代小学校
小学5年生 理科「天気の変化」

指導者:村田 未沙輝 先生開発!気象予報ロボ
授業前の様子

授業の始まりを待ちきれない様子の児童たち。そんな児童たちに先生は「もうちょっと待ってね。今から始めてしまうと、見に来てくれている人たちがすることなくなっちゃうからね」と談笑しながら休み時間を過ごしていた。SPIKE™プライムと、タブレットの電源が入っていることをみんなで確認して待機すると、子どもたちが先生に話し掛け、SPIKE™プライムで何をしたいかを話す様子があった。

「めあて」と授業の流れを確認(10分間)
授業風景

「これが今日の雲の様子です」と教室内にあるモニターを児童たちと一緒に見る。モニターには西日本の地図と雲の様子が表示されている。授業当日の天候は晴れ。「今日は雨をお知らせするロボットをつくる授業なので、雨が降ってくれると一番よかったんだけどね。さて、これまでどんなことをやってきたんだっけ?」と児童たちに振り返りを促した。児童から「雨お知らせロボを〇〇さんに向けて開発しよう」と学習テーマの返事があると、これをきっかけに「今日のめあて」を考える時間が始まった。


授業風景

本日の課題「雨お知らせロボを〇〇さんに向けて開発しよう!!」を受けて、それぞれ個人、班ごとに、どんなことを今日のめあてにするかをノートに書いていった。先生は子どもたちの様子をみながら「いいですね、協力することも大切ですね」「完成させることを目標にするのもいいね」と対話しながら進み具合を確認し、一通り書き終わる様子を見届けると、子どもたちに「めあて」を発表してもらった。

  • 目の不自由な人のために雨お知らせロボをつくります
  • 耳が不自由な人のために雨お知らせロボをつくります
  • 班で協力してロボットを開発し、プログラミングを完成させます
プログラミング(20分間)
授業風景

児童たちと相談しながら、プログラミングをする時間を決めた。そのうえで早く終わった班があれば発表の練習をする時間に活用できるように、発表時の注意点と工夫を強調して伝えていた。

    【発表のポイント】
  1. だれのためのロボットか
  2. こんな機能がありますよ
  3. プログラミングはこうです
  4. 実現します

ロボットの組み立てが始まると、「あ、こっちがマイナスだから…」「晴れのマーク、使っている人はいる?」「ここのチームが困っているみたいだよ、教えてあげて」「もう時間がないからここを変えようか」など積極的に対話し、助け合い、試行錯誤している様子があった。

発表(20分間)

ここまでの成果の発表。「発表しない人は、発表をよく聞いて工夫や良いところをメモしておくように」と伝えたうえで、特徴的な工夫をしているチームに発表を促していった。

だれのためのロボット? どんな機能が?
目と耳が不自由な人 天気を動きで知らせる
目の不自由な人 天気を音で知らせる
音はプログラミングして童謡『かえるの合唱』が再生されるように工夫した
漁師さん 雨なら「がんばれ」と音が鳴る
晴れなら『おさかな天国』が流れる
主婦 晴れか雨かを音で知らせる
(家事で忙しいので、音でお知らせしてお手伝いしたい)
授業風景 授業風景
振り返りとまとめ(5分間)
授業風景

ロボット開発をし、発表を聞いてみて大事だと思ったことを児童に聞き、まとめていった。

  • 使う人の視点(その人の立場になって考える)
  • 使う人に合わせて方法を選ぶ

「発表していないチームがあると思うけど、次の時間でまた時間をとりたいと思います。発表の時間にとったメモをみたいので先生の机に提出しておいてね」と伝えて授業を終えた。


インタビュー:村田 未沙輝 先生
村田 未沙輝 先生

SPIKE™プライムを選んだ理由は?

教科の学習と連携しやすいのが一番の理由です。「どういう機能を使えば理科の学習に使えるかな?」と考えたときにインターネット上のデータを利用して「天気情報を取得できる」というSPIKE™プライムに魅力を感じ、これなら教科の学習に活用できると思いました。

SPIKE™プライムを見たときの第一印象はどうでしたか?

EV3と比べて、SPIKE™プライムのパーツは組み立てやすい印象でした。見た目もカラフルでかわいく、子どもたちも喜んでくれました。実際、組み立ても容易でした。子どもたちも同じ印象だったみたいです。

WeDoとの比較はどうですか?

センサーやモーターの種類、パーツやハブの豊富さを子どもたちは実感していたようでした。パーツや差込口の数から、「きっとこんなこともできるんじゃない?」など想像を膨らませている様子が見えました。

操作をする画面についてはどうですか?Scratch3.0を採用したプログラミングについて、難しく感じることはありましたか?

SPIKE™プライムは面倒な文字入力の必要はほとんどなく、子どもたちでも直感的にプログラミングすることができました。子どもたちの適応能力はすごいですからね。

子どもたちが積極的に発表していたように見えたのですが、授業の工夫についてお伺いさせてください。

2学期にプログラミングの授業をしたときは、プログラムの計画をつくってからすぐに開発しました。その結果、開発する時間が十分にとれず、完成できたものが少なく、充実感につながる要素が少なかったんです。今回はそのときの反省を活かして、しっかり計画する時間と開発する時間をとりました。完成したものはみんなに見てもらいたくなるので、子どもたちが積極的に発表する姿勢につなげることができたんだと思います。

ほかの学校で活用するときに注意するとしたらどんな点ですか?

SPIKE™プライムは多機能であることが魅力なので、どの部分を引き出して教科に落としていくのかを考えるところですね。やはりいろんな実践が必要だと思います。まず使ってみたうえで「教科ではこんなふうに使えるね」と、児童たちに提示できたらいいですね。

インタビュー:金川 弘希 先生
金川 弘希 先生

SPIKE™プライムを選んだ理由は?

これまでWeDoとEV3を使ってみて、この中間レベルのものがあるといいなと思っていました。WeDoはシンプルで使いやすいですが、高学年での活用を考えるともうちょっと応用が利くものを考えていたんです。EV3はセンサーも豊富で、できることもたくさんありますが、インターネットから情報を取得してプログラミングに活用できるものを探していたとき、SPIKE™プライムのIoT機能は魅力的でした。また、作り方のモデルやサンプルプログラムが学習展開に沿って記載されており、初めてプログラミング教育を実践する教員にも親切で魅力的だと感じました。

高学年での利用には適していると思いますか?

そうですね。WeDoを工夫して活用してきましたが、SPIKE™プライムを使ってみて、ロボットやプログラムを簡単にアレンジできることがわかりましたし、もっといろんな機能を使って作ってみたいと考えていた児童の表現力が高まり、高学年向きにより使いやすくなっていると思いました。

最初にSPIKE™プライムに触れる学年についてはどう考えますか?

もちろん何をするかにもよるのですが、例えば5年生で使うのであれば、4年生のときに国語や理科の単元と絡めて、ロボットの関節の動きのプログラミングを経験させておく。それが5年生につながり、6年生ではさらに工夫を重ねていくとよいと思いました。

SPIKE™プライムを使うときの1つのグループの人数はどれくらいが進めやすかったですか?

児童4人当たりに1台程度ですね。いろんな考え方や視点が必要になってくるので、3~4人で知恵を出し合うぐらいがちょうどよいかと思います。もちろんそのときの学級の状態やグループごとの調整も必要だと思います。

SPIKE™プライムには実社会につながる4つのテーマをカバーする30以上のレッスンプランがありますが、理科や算数、音楽などいろんな単元でも活用できると思いますか?

そうですね。ブロックの大きさや形状、種類もWeDo、EV3と違うので、高学年にとって使いやすくなったと思います。特にレッスンプランは、とても参考になります。なにも無い状態から授業プランを組み立てるのは難しいですが、サンプルで提示してもらえると単元の計画を立てやすいですよね。また、実社会や実生活と繋がるというのは魅力的です。これは学習指導要領等にも書かれていることですが、教科学習と実社会を繋げて、実社会の問題解決を行っていくことにより、教科学習が社会と繋がっていることを実感できます。プログラミング教育が教科学習と実社会との懸け橋になっていると感じるはずです。

ひとつの単元に必要な授業時間についてはどう考えますか?

組み立てと片付けまで含めて、ひとつの単元で3時間くらいはほしいですね。

SPIKE™プライムにこれから期待することはありますか?

プログラミングをする際、使えるブロックがすべて表示されるのはうれしい機能なのですが、一方で少し情報量が多くなり過ぎる部分があります。授業ごとに表示させる情報量を調整できると、子どもたちにとっても授業を準備する教師にとっても負担が少なくなると思いました。あとはセンサー回りですね、具体的には照度や温度を活用できると授業の幅が広がると思いました。

具体的な「モノ(レゴ®ブロック)」を使うことの優位性みたいなものを感じることがありますか?

画面の中だけのプログラミングは成功できても、実体験での100%の成功はなかなか無いと思います。「イレギュラーが起こるからこそ改善する」ことにつながり、それが生きる力になると思います。問題が起きたときの解決の仕方を考えることが重要で、モノがあることで視野が広がり、気づきのキッカケになり、創造(想像)する力を養えるのだと思います。