特集記事プログラミング教育に関するお悩みや、今取り組むべきことなどをご紹介。

プログラミング教育最前線

PROGRAMMING EDUCATION

大阪市立苗代小学校 小学5年生 理科

板橋区立上板橋第四小学校
小学6年生 理科「地球に生きる」

指導者:曽根原 加果 先生地球に生き続けていくためのロボットを作ることを通して、人の暮らしと環境について考え説明しよう
授業前の様子

教室には3人一組の9グループの児童が着席。タブレットに電源が入るか、SPIKE™プライムとつなげられるか、各班がそれぞれを確認する様子があった。各班の机上にはホワイトボードが1つあり、プロジェクトの目的やゴール、プログラムの設計書を記載した資料が貼られていた。

「めあて」の確認(10分間)
授業風景

まずは今日の授業の目的である「めあて」の確認。「ゴールカード」「自分たちのワークシート(設計書)」を見て、自分たちが特に取り組みたいこと思っていることを振り返った。改めて自分たちが実現したかったことを確認したうえで、今日は「もっとよくするにはどうしたらよいか?」を話し合うように伝えた。

※ ゴールカード:
自分たちがどのような環境問題について何を対策した機械を製作しているのか、どのようなゴールにプログラミングしているのか、目的や意図を明確にして手順を考えたり試行錯誤したりできるようにするためのワークシート

班ごとの話し合いとプログラミング(20分間)
授業風景

「あ、これはやっぱり車にしよう」「これはなんのためだっけ?」「センサーを付けたいよね」「お、ちゃんと機能している!」など、積極的な対話と試行錯誤をしている様子が見てとれた。自分の考えを他のメンバーに伝え、また他のメンバーはその意見をよく聞き、なぜそのように考えたかを質問しながら、プログラムを直しては確認する、という試行錯誤を繰り返していた。

発表の時間(10分間)
授業風景

発表にあたっての注意点を2つ強調したうえで、それぞれの班の取り組みを発表した。「発表を聞いている人は、もっとよくできそうな点を見つけたら、積極的にアドバイスを送るように」と先生は強調した。発表の方法は3人一組になる。製作メンバーとは異なるメンバーで編成を行い、3種類のグループから一人ずつ、3人で1つのグループをつくっていた。一人が発表、二人は聞き役となり、2分ごとに発表を3回繰り返す。つまり、1つの班のメンバー全員が自分の取り組みを説明する役割を必ず担当する。「今はここまでしか進んでいないけど、ここをもうちょっと良くできるように工夫しているところです」「本当は自動でやりたかったんだけど、今はまだ手動なんだよね」「じゃあ、感想を言うね」など、主体的、対話的に他者と関わって学んでいる様子があった。発表時にもらったアドバイスはメモをとり、自分の班に持ち帰り共有することで次の試行錯誤につながっていく仕組みだ。

    【発表をするときの注意点は2つ】
  1. 誰のためのロボットか(イメージマップを使って伝える)
  2. なぜその対策が必要なのか

微生物の力を使って水を濾過する仕組みを考えたチーム、色を感知して動作を切り替える仕組みや地震を想定して揺れを検知したら堤防を動かす仕組みを考えるなど、児童たちが試行錯誤した様子が伝わってきた。前の授業ではほとんど完成していた班もあったが、ほかの班の様子やアドバイスを聞いて劇的に仕組みを改善させるチームがあるなど、対話を通して学びを深めていた。

振り返りとまとめ(5分間)
授業風景
  1. 自分の班以外のメンバーからもらったアイディアを共有しあう
  2. 地球と人との関わり方について考える(「めあて」の再確認)
  3. 「もうちょっとこうしたい」と思うプログラミングの改善点は何か考える

学んだこと、気付いたことをワークシートに記入をし、授業を終えた。


インタビュー:曽根原 加果 先生
曽根原 加果 先生

SPIKE™プライムを選んだ理由は?

レゴ®WeDo2.0よりも自由度が高かったというのが理由なのですが、実はSPIKE™プライムの体験会に参加した児童の一人から自主的に「振り返り」の提出があったんです。そのなかに「SPIKE™プライムであれば、自分の思っていること、考えていることが表現できそうです」と書かれていました。レゴ®WeDo2.0では表現できなかった部分もSPIKE™プライムならできるようになるのでは?と夢を感じたようです。授業をして子どもたちからも「SPIKE™プライムでよかった」という声が多かったです。いろんなセンサーが使えることで、自分が想像していることを実現できるのがうれしかったようです。

上板橋第四小学校ではWeDo2.0を使った授業でのご経験があり、今回の公開授業でSPIKE™プライムを使った児童たちもWeDo2.0の経験はあったと伺っています。例えば、WeDo2.0を使ったことがない児童たちが初めてSPIKE™プライムを使って授業を受けるとしたら、使う側の教員としては、どれぐらいの難易度だと思いますか?

Scratchを使ったことのある6年生であれば問題は無いかなと思います。Scratchのプログラミングブロックと似ているからです。だから、プログラミングをするときのブロックの意味がなんとなく分かっている状態であれば、SPIKE™プライムの理解も早いと思います。おそらく2年生ぐらいだとWeDo2.0の方が直感的で扱いやすいのではないでしょうか。発達段階に応じてではありますが、「思考の流れがこういうふうになるんだ」というのが分かる学年になればなるほど、SPIKE™プライムは使いやすいと思いました。

SPIKE™プライムを使うときの1つのグループの人数はどれくらいがよいと思いますか?

3人に1台ですね。2人だとグループごとにすごく差が出るような気がします。3人だと誰か一人が批判的な意見を出しやすくなったり、建設的な議論が生まれたりしやすいのだと思います。考えを深めるのには3人が適当で、4人だと少し多いと思います。4人だと傍観者が出てしまう可能性がありますね。

組み立ての時間についてはどうですか?

そうですね。組み立て用の説明書が無かったとしても1、2時間ぐらいですね。実は児童の能力を侮っていたところがありまして。児童たちの創造力は私が思っていたよりも大きかったです。説明書が無いと無理かなと思っていたのですが、ブロックを想像して自由に組み合わせて作るんですよね。きっと、それがレゴの良さなのかなと思いました。
それと今回、レゴさんと連携しながら授業の構想を練ることができたのもすごく良かったと思います。私には無い発想に触れることでできてありがたかったです。組み方説明図と組み立て用の説明書が無かったということがプラスに働いて、児童たちの創造性を引き出せたのかなと、でも先生向けにはやはり組み立て説明図と組み立て用の説明書は必要だと思います。ある程度のものが指針としてある方が授業の展開がしやすいからです。

今回、先生自身が工夫して作られた「ブロックカード」がありますね。それについて少しお伺いさせてください。

ブロックカード

そうなんです。私の手作りです。アプリ自体にヘルプ機能はあったのですが、文字情報だけだったので、実際のプログラミング画面を参考にしながら作りました。おかげで教材研修はバッチリできました。児童から「ここがうまく動かないんだけど」と聞かれたら、「これでやるんだよ」と助言することができて、とてもよい機会となりました。実は以前にWeDo2.0のブロックカードを作っていた先生がいらっしゃって、それを参考にしました。自分の想いをどうプログラミングすればよいのか、また、実現するためにどのようなセンサーが使えるのかという点で子どもたちが困ったときの手助けとなっていたように感じました。

ほかの先生たちが今後SPIKE™プライムを使うにあたって、何が必要だと思いますか?

研修ですね、やはり必要だと思います。まずは教師自身が興味を持つことです。そして簡単でもよいので自分で動かしてみる。1時間ぐらいでもよいので、まずは触って、動かして楽しむこと。先にセンサーだけでも使い方をマスターできると授業をする際に安心です。センサーの使い方がイメージできると、自分の授業にどう取り入れるかのイメージがわきやすくなると思います。また、児童が製作やプログラミングのスキルを身に付けるための時間確保のために、教科等を横断して取り組めることが理想ですね。