特集記事プログラミング教育に関するお悩みや、今取り組むべきことなどをご紹介。

プログラミング教育最前線

PROGRAMMING EDUCATION

板橋区立成増ヶ丘小学校 小学5年生 総合的な学習

板橋区立成増ヶ丘小学校
小学5年生 総合的な学習

指導者:梅木 啓太郎 先生被災地で困っている人々を救助ロボで救おう
授業前の様子

公開授業の舞台となった体育館には3人一組の10グループの児童が集まった。各班の作業スペースには「目的地」「中継地点」「出発地点」「障害物」の4つの地点が記載された模造紙が置かれ、先生が待機する前方にはプログラミングのポイントを説明するためのホワイトボード、各チームの進展を記入するチェック表、ミッションがひと目で分かるポスターが用意されていた。

「めあて」の確認(10分間)
授業風景

まずは今日の授業の目的「めあて」の確認。本日の授業を迎えるにあたり、児童たちは東日本大震災、広島で起きた大規模な土砂災害などの災害について学び、被災者の生活や防災について考えてきた。この授業では、「5年3組救助隊」と題して「人命救助」「支援物資」の2つの観点から、目的に合った操作のしやすい救助ロボを作り、課題を解決するためのプログラミンに挑戦する。与えられたミッションは5つ。

    【5つのミッション】
  1. 目的地にたどり着く
  2. センサーで障害物を感知し避けて進む
  3. Lモーターで障害物をどけて進む
  4. (発展課題) 休憩地点を経由し、病院に到着
  5. (発展課題) 自分たちで障害物を増やしたり、ルートを変えたりするなどして作り変えてみる
授業風景

まずはホワイトボードでプログラムの設計図をつくる。ここで大切なのは対話とチームワークであること、失敗したらなぜ失敗したかをチームで話し合うこと。そして、設計図に戻りプログラムを修正する、というひとつひとつの手順を踏んでいくことの大切さと理由を確認した。

各班の活動に入る前に、前方のホワイトボードで、どんなブロックを使うとどんな動きになるのか、クイズ形式で確認した。代表の児童がプログラムのブロックを動かすたびに「おー!」など歓声が何度も上がり、楽しみながらお互いの理解度を確認しあう姿があった。

班ごとの話し合いとプログラミング(25分間)
授業風景

先生の号令で班ごとの活動がスタートした。「5年3組救助隊の諸君!いよいよ今日という日がやってきた。今回の任務は救助ロボを正確に目的地に届けることである。君たちの行く手には大きな障害物が立ちはだかっている。そこでどうプログラミングをし、どう修正していくか、全てチーム力にかかっている。救助隊所長として、諸君の成功と健闘を祈る。救助隊、出動!」児童たちは元気に「ラジャー!」と応え、それぞれの班に別れた。各班にはひとりずつリーダー役が振られており、チームメンバーとの掛け声やうまく動かなかったときの原因を考えるキッカケの対話をつくりだしていた。


授業風景

先生は各班の進行を確認しながら、全員に共有すべき工夫をしている班を見つけると、その班の周辺に集まるように声がけをした。どんな工夫をどんな手順で行っているかを共有することで、ほかの班はそのチームの工夫を参考にして自分たちの課題について考えることができていた。必要な情報を収集しきれていない班へのサポートとして機能しており、課題を解決できたチームの代表はうれしそうに前方にあるチェック表を記入しにいっていた。

どの班のロボットも個性的だったが、特に特徴が出たのは障害物を除去するために使用するLモーターの使い方だった。センサーで感知してからモーターを動かす班、最初からモーターを動かしながら進んでいく班、障害物を除去するためのアームの組み立て方も、大きく左右にスイングするものから、回転するもの、大きいものから小さいものまで多種多様だった。

振り返りとまとめ(5分間)

センサーで障害物を感知し避けて進むところまでは全ての班が授業時間内にクリアした。いくつかの班はミッション4までクリアするなど、お互いの工夫と成功を称え合った。「みんなで考えたようなプログラムやロボットが日本中に広がって、災害のときに人を助けることができるようになるとよいと思った」「人の頭脳はロボットを超えると思う。ロボットをどう動かすかはぼくたち次第。もっとたくさん考えて困っている人たちを救いたい」「入力する数字がちょっと違うだけで動きが変わるのは勉強になった」など、感じたことを共有し、授業を終えた。


インタビュー:川田 聡子 先生(5年1組)
川田 聡子 先生

SPIKE™プライムを選んだ理由についてお聞かせください。

まず第一に、子どもたちの素晴らしい創造力を具現化させてあげたいという思いがありました。WeDo2.0でやれることに限界を感じていたときに、SPIKE™プライムを手に取ってみる機会があり、使えば使うほど可能性が広がる教材だということがすぐに分かりました。Scratchベースなので子どもたちにも扱いやすいと思います。次に、SPIKE™プライムのカラフルな色合いです。女子児童にも色彩がかわいいと好評でしたので、ぜひ授業に取り入れたいと思いました。

実際に、5年生で使ってみての印象はどうでしょうか。

正直に言うと、最初は難しさを感じました。Scratchでキャラクターを動かすのと、実際にロボットを動かすというのは大きな違いがありました。実際にやりたいことと、ブロックの動きがリンクせずに、何をどうしていいか分からないという状態でした。

Scratchの経験がないと、5年生の授業にSPIKE™プライムを使うのは難しいでしょうか。

Scratchをほとんどやったことがないという児童もいましたが、無事に発表まで到達することができました。ですので、経験値よりも、教員の授業の組み立てが重要ではないかと思います。教員が学習のめあてをきちんと理解して、絶対に学びたいことを抜粋して設定することが重要だと思います。

SPIKE™プライムを使うにあたっては何人に1台というのが有効だと思いますか。

3人に1台がベストだと思います。4人に1台では、実際に触ることができず、活動しないで見ているだけの子がでてきてしまうかもしれません。2人では発言が少なく、気づきも足りないんです。みんなで関わっていくためには、3人がちょうどいいです。

総合的な学習の時間以外にも使えそうな教科はありますか。

理科の学習に向いていると思います。天気予報のデータの活用や条件分岐など、理科の授業で有効に使えそうです。